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子どもが好きなのに・・・低い教員男性の育休取得率

男性教員による育児休業の取得率は、一般の地方公務員と比較して2分の1にも達していないという統計があります。
その背景には、どのような要因が壁となっているのでしょうか。
保育園に通うお子さんの両親には、教務職という方も多いでしょう。
男性が育休を取りたくても取れない事情は、民間企業だけではないようです。
(※2025年7月30日 朝日新聞の記事を参考に要約しています。)

教壇を離れる不安と葛藤

関東在住の30代の男性教員は、現在育児休業中ですが、「人手が足りず、とにかく多忙です」と声をもらしています。
義務教育の現場で働いており、共働きの妻は会社員です。
家庭には2歳と0歳の子どもがいます。
第1子が2022年秋に誕生し、2023年4月から約半年間の育休を取得しましたが、その当時、周囲に同じように育休を取った男性教員は見当たりませんでした。
「育休を取ることに対して、同僚から無責任だと思われるのではと心配でした。保護者や子どもたちに対しても、職務を放棄しているように見られないか不安がありました。生徒たちとの信頼関係が崩れるのではないか、復帰後に仕事があるのかも気がかりでした」と、複雑な胸の内を語っています。

何ものにも代えがたい時間、家族との時間が教えてくれたもの

「そのときのことを思い出すと、今でも胸に残っています」と男性教員は語ります。
育休を取ろうと決めた理由は、家庭の負担が限界に近づいていたからです。
朝7時頃に出勤し、帰宅は夜8~9時。
子どもはすでに寝ており、夜中に何度も起きておむつを替える妻の負担も大きくなっていました。
「仕事も子育ても、どちらも中途半端になってしまう感覚がありました。
育児にしっかり向き合い、子どもと向き合う時間を取りたいと思ったのです」と当時の心境を明かします。
年上の男性教員から「ゆっくり休んでね」と声をかけられた際には、「育児をするので、ゆっくりはできませんよ」と返答したこともあったそうです。
また、年度末が近づいた頃には「もう少しだけど、仕事も頑張ってね」と言われ、「自分に対する印象はあまり良くないのかもしれない」と感じたといいます。
育休中は、子どもがハイハイを始める瞬間など、成長の一コマ一コマをそばで見ることができたそうです。
「本当に、何ものにも代えがたい時間でした」と振り返ります。

教育現場への配慮と育休取得の決断

育児休業から復帰して7か月が経った頃、妻が第2子を妊娠していることがわかりました。
男性教員は再び育休を取得したいと、管理職に申し出ました。
出産の予定は冬でしたが、育休の開始時期は翌年4月、つまり自身の担任業務を終えたタイミングに設定しました。
これは、職場への影響を最小限に抑えたいという思いからでした。
「新しく担任を引き継ぐ教員は、生徒たちとの信頼関係を一から築いていかなければなりません。生徒にとっても慣れるまでに時間がかかり、心理的な負担も大きくなると思います。ただ書類をまとめて、業務を引き継げばよいというわけではないのです」と話しています。

教員の育休取得に現実は立ちはだかる・・・

公立学校に勤務する男性教員の育児休業取得率は、依然として低い水準にとどまっています。
国の調査によると、2021年度に育休を取得した男性教員の割合は9.3%でした。
これは2018年度の2.8%からは上昇しているものの、民間企業の13.97%、国家公務員の34.0%(一般職に限れば62.8%)、地方公務員全体の19.5%と比較すると、大きく下回っています。
文部科学省初等中等教育企画課の担当者は、「教員は担任制が基本であり、短期間だけ職務を離れるといった対応が難しい面があります。また、教員不足の影響で代替要員を確保するのも簡単ではないのではないでしょうか」と説明しています。

男性の育休はぜいたくなの?現場に残る根強い壁

この男性教員が、他校の男性教員に育児休業の話をした際、「それはぜいたくだね」と言われた経験があるそうです。
自分の育休申請が校長によって了承されたのは、おそらくその校長が前任校で男性教員の育休取得を見ていたことが関係していたのではないか、と推測しています。
「運が良かったと思います。前例がなければ、申請する側も認める側も尻込みしてしまうのではないでしょうか」と語ります。
男性教員の間で育休を希望する声は今後さらに増えていくはずだと見込む一方で、現場の課題が気がかりです。
「教職員の数が足りない状況や、周囲への負担が軽減されないままでは、育休を取る人とそうでない人の間に溝ができてしまいます。見直すべき業務はあるはずですが、あまりに忙しくて、立ち止まって考える余裕すらないのが実情です」と懸念を示しています。