イクメンという言葉はすっかり市民権を得ました。しかし、母親と父親ではイクメンの定義に多少ずれがあったりします。イクメンという言葉自体が嫌い、という人もいるようです。
まだ世代間の格差が強い?
育児休業法が施行されたのは1992年。今50歳前後の人が入社した時代です。今では育児に関わる男性はかなり増えましたが、積極的に関われない事情もあるようです。
今50歳前後の男性の場合、その妻は結婚や出産で会社を辞めてしまう人が大半でした。ですから、若い世代と考え方に違いがあって当然。
仕事が終わらなければ残業や救出でカバーし、飲み会で遅くなることもしばしば。それが普通で来てしまっています。
子どもの送迎やお風呂入れ・寝かしつけのために定時に帰る若い世代を全てにおいて、理想形とは考えつつも、歓迎している風潮はなかなかないようです。その分の仕事は、上司や同僚が担うことになります。
また男性自身も自分にキャリア形成に不都合が生じるのではないか、という漠然とした不安を持っている人もいます。
男性が家事育児をしながら働くことは難しい
そもそも、イクメンという言葉があるのは男性が育児をすることが特別ですごいこと、珍しいことだからでしょう。普通に関わっている世の名嘉であれば、ざわざわイクメンという言葉がなくてもいいはずです。
男性は社会に出たら常に競争を求められ、上にのし上がることが求められます。一方で、偉くならなくてもいい、キャリアはほどほど積めればいい、キャリをを上るだけじゃなくて降りるのもあって良い、と考える人もいます。
自分のプライベートや家族を優先させたい、家事育児にできるだけ関わりたい、と出れば、「じゃ、昇給昇格はしなくていいのね」となる会社はまだまだあるでしょう。
若い世代にも「男は外で働き女は家庭を守るもの」と考える人も一定数はいるのです。
少しづつ増えているイクメン、でもになりたくてもなれない現実もある
男性の育児休業を義務化しようという動きもあります。実際にわずかではありますが、男性の取得率は増えています。ですがわずか6%台。女性は8割以上が取得しています。
これから徐々に増えていけば、職場の理解も得られ、もっと取得しやすくなるでしょう。しかし問題は育休取得後。「とりあえず、義務になったから取得した」と2週間取った後、また長時間労働に戻ってしまったら意味がありません。
イクメンという言葉が存在している間は家事育児をしている男性を特別視していることになります。ですから共働きでフルタイムの女性は「私たちは普通にやっている事なのに男性だけ特別扱いなんておかしい」とイクメンという言葉が嫌いという人は多いです。
イクメンという言葉が無くなるくらい、家事育児に関わる男性が増えるといいですね。
2019年10月13日(日)朝日新聞朝刊より