保育士試験
過去問題
平成28年度(後期)
保育の心理学 平成28年度(後期)
次の説を提唱した人物として正しいものを一つ選びなさい。
生涯発達心理学とは、受胎から死に至る過程における行動の一貫性と変化を研究するものである。研究の目的は、生涯発達の一般的原理、発達における個人間の差異性と類似性、発達の可塑性とその限界等を明らかにすることである。
1 | マーラー(Mahler, M.S.) |
2 | レヴィン(Lewin, K.) |
3 | メルツォフ(Meltzoff, A.) |
4 | バルテス(Baltes, P.B.) |
5 | ハヴィガースト(Havighurst, R.J.) |
次の文のうち、「保育所保育指針」第2章の2「発達過程」の一部として、(a)~(d)の下線部分が正しいものを◯、誤ったものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
子どもの発達過程は、おおむね次に示す(a)8つの区分としてとらえられる。ただし、この区分は、同年齢の子どもの均一的な発達の基準ではなく、一人一人の子どもの(b)発達過程としてとらえるべきものである。また、様々な条件により、(c)子どもの家庭の問題や保育所の生活になじみにくいなどの状態が見られても、保育士等は、子ども自身の力を十分に認め、一人一人の発達過程や心身の状態に応じた(d)適切な援助及び環境構成を行うことが重要である。
(組み合わせ)
a | b | c | d | |
1 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
2 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
3 | 〇 | × | × | 〇 |
4 | × | 〇 | 〇 | × |
5 | × | 〇 | × | × |
a ◯ 適切です。
b ◯ 適切です。
c × 不適切です。正しくは「子どもの家庭の問題」ではなく「子どもの発達上の課題」です。
d ◯ 適切です。
次の文は、エリクソン(Erikson, E.H.)の発達理論の記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
エリクソン(Erikson, E.H.)の( A )では、生物としてのヒトがある規則性をもって( B )に発達する一方、社会的に生きる人間がさまざまな心理・社会的な( C )に遭遇し、それを解決しながら発達するとみなされる。つまり、各発達期に固有な課題が、 ( D )な概念として提起され、肯定的概念が否定的概念を上回ることで、その課題を乗り越え心理・社会的に発達すると考えられている。
【語群】
- ア ライフコース論
- イ 漸成的
- ウ ストレス
- エ 対極的
- オ ライフサイクル論
- カ 加速的
- キ 危機
- ク 両義的
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | イ | ウ | エ |
2 | ア | カ | キ | エ |
3 | オ | イ | ウ | ク |
4 | オ | イ | キ | エ |
5 | オ | カ | ウ | ク |
B イ:漸成的
C キ:危機
D エ:対極的
以上の言葉ががそれぞれ当てはまります。
保育所に通っている子どもの場合、次のブロンフェンブレンナー(Bronfenbrenner, U.)の生態学的システムに関する【I群】の語句と【II群】の説明を結びつけた場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
【I群】
- A マクロシステム
- B メゾシステム
- C マイクロシステム
- D クロノシステム
- E エクソシステム
【II群】
- ア 家庭と保育所の関係
- イ 保護者の職場
- ウ 保育所
- エ きょうだいの誕生
- オ 日本文化
(組み合わせ)
A | B | C | D | E | |
1 | ウ | オ | エ | イ | ア |
2 | エ | ア | ウ | オ | イ |
3 | エ | オ | ウ | イ | ア |
4 | オ | ア | ウ | エ | イ |
5 | オ | ア | エ | ウ | イ |
文化や社会、法律などを指す。
B メゾシステム:ア 家庭と保育所の関係
直接自分が関わるシステムの相互関係を指す。
C マイクロシステム:ウ 保育所
直接的に本人に関わるものを指す。
D クロノシステム:エ きょうだいの誕生
時間的な流れなどを指す。
E エクソシステム:イ 保護者の職場
直接は関わらないが影響を受ける環境を指す。
次の文は、心の理解に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
他者が外界について本当だと思っていることを正しく推測できるようになる「心の理論」を測定するために、( A )がよく用いられ、( B )に獲得することが示されている。しかし、この「心の理論」の前駆体の一つとして、( C )頃に成立するコミュニケーションが注目されており、保育者との( D )を通した触れ合いが基盤とされる。
【語群】
- ア 3つ山課題
- イ 5歳以降
- ウ 誤信念課題
- エ 4歳以降
- オ 共同注意
- カ 生後1歳半
- キ 生後9か月
- ク ふり遊び
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | イ | カ | オ |
2 | ア | イ | カ | ク |
3 | ウ | イ | キ | ク |
4 | ウ | エ | キ | オ |
5 | ウ | エ | キ | ク |
B:エ 4歳以降
C:キ 生後9か月
D:オ 共同注意
他者が外界について本当だと思っていることを正しく推測できるようになる「心の理論」を測定するために、( A:誤信念課題 )がよく用いられ、( B:4歳以降 )に獲得することが示されている。しかし、この「心の理論」の前駆体の一つとして、( C:生後9か月 )頃に成立するコミュニケーションが注目されており、保育者との( D:共同注意 )を通した触れ合いが基盤とされる。
次の【事例】を読んで【設問】に答えなさい。
【事例】
Pちゃん(3歳、女児)と保育士がやりとりをしている。
- Pちゃん:Pちゃん きのう ダイオン ガオーって いってきた
- 保 育 士:ん? どこに行ったの?
- Pちゃん:パパと ママと Pちゃん チャパリクーパ!
- 保 育 士:あっ Pちゃん 昨日の日曜日にパパとママとサファリパークに行ったのね
- Pちゃん:ダイオン ガオーって!
- 保 育 士:そうなんだ ライオンさんとお話したのかな?
- Pちゃん:おにく どうじょって きりんしゃん はっぱ どうじょしたの
- 保 育 士:Pちゃんがライオンにお肉あげたの? すご一い きりんさんには 葉っぱあげたのね
- Pちゃん:もぐもぐ ごっくん ダイオン ガオーって!
【設問】
このやりとりに関連した次の記述について、適切なものを◯、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 子どもの過去の出来事や体験の断片的情報から、保育士は意味のある語りを組み立てている。
- B 子どもの発話に対し、保育士は拡充模倣をしている。
- C 発声するための器官が未発達の子どもは、発音しにくい音を他音で代用したり、音順を入れ替えたりしている。
- D 子どもは会話に参加することを通して、どのように語るのかを学んでいくことができる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
3 | 〇 | × | 〇 | × |
4 | × | 〇 | × | × |
5 | × | × | 〇 | 〇 |
B:◯ 適切です。
C:◯ 適切です。
D:◯ 適切です。
次の文は、 乳幼児の心理学的実験装置の記述である。 この装置を考案した人物として正しいものを一つ選びなさい。
断崖があるように見える実験装置で、 乳幼児が奥行を知覚できるか明らかにするために開発された。 その後、 他の研究者によって、 乳幼児がなじみのない場面に出会い、どのように振舞ってよいか分からないときに、他者の表情や態度を参考にする社会的参照を確かめる装置としても用いられた。
1 | ヴント(Wundt, W.) |
2 | キャッテル(Cattell, J.M.) |
3 | ハーロウ(Harlow, H.F.) |
4 | ギブソン(Gibson, E.J.) |
5 | ソーンダイク(Thorndike, E.L.) |
1 ヴント(Wundt, W.)ドイツの心理学者で、「実験心理学」を提唱。
2 キャッテル(Cattell, J.M.)イギリスの心理学者で、結晶性知能・流動性知能を提案。
3 ハーロウ(Harlow, H.F.)アメリカの心理学者で、アカゲザルの子を用いた実験を行った。
5 ソーンダイク(Thorndike, E.L.)アメリカの心理学者で、試行錯誤学習を提唱。
次の文は、高齢期の知的機能についての記述である。適切な記述を◯、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 高齢期の知的機能については、縦断研究やコホート研究によって新たな知見が示されてきている。
- B 人生の問題に対処する能力である英知(wisdom)は、高齢期にも上昇する場合がある。
- C 過去の経験や獲得した知識に基づく知能は流動性知能と呼ばれ、高齢期でも低下しにくい。
- D 高齢期における知的機能の低下は、その機能を使わなくなるということが一つの要因となる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
3 | 〇 | 〇 | × | × |
4 | × | × | 〇 | 〇 |
5 | × | × | × | × |
B:◯ 適切です。
C:× 不適切です。流動性知能ではなく結晶性知能と呼ばれます。
D:◯ 適切です。
次の文は、胎児の発達に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
一般に在胎期間は( A )の間であるが、 妊娠初期から超音波断層法により、胎児の発育状態や動きを画像で見ることができる。胎動を感じるようになるのは( B )からであり、これは我が子という感情を母親にもたせることになる。この頃になると胎児の聴覚も発達し、母親の声の強弱、抑揚などを感知していることが( C )として明らかにされている。そうした胎児期の経験が( D )として新生児期においても継続している。
【語群】
- ア 妊娠20週頃
- イ 妊娠37週から42週未満
- ウ 心拍数や胎動の増加
- エ 学習記憶
- オ 妊娠30週頃
- カ 妊娠27週から32週未満
- キ 胎児MRI画像
- ク 聴覚記憶
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | イ | ア | ウ | ク |
2 | イ | オ | ウ | エ |
3 | イ | オ | キ | ク |
4 | カ | ア | ウ | エ |
5 | カ | オ | キ | ク |
B:ア 妊娠20週頃
C:ウ 心拍数や胎動の増加
D:ク 聴覚記憶
一般に在胎期間は( A:妊娠37週から42週未満 )の間であるが、 妊娠初期から超音波断層法により、胎児の発育状態や動きを画像で見ることができる。胎動を感じるようになるのは( B:妊娠20週頃 )からであり、これは我が子という感情を母親にもたせることになる。この頃になると胎児の聴覚も発達し、母親の声の強弱、抑揚などを感知していることが( C:心拍数や胎動の増加 )として明らかにされている。そうした胎児期の経験が( D:聴覚記憶 )として新生児期においても継続している。
次の下線部(a)~(d)に関連の深い用語を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
乳児は手をしゃぶったり、(a)手を握ったままかざして見つめたり、また、声を発するといった行動をしばしば繰り返し行う。乳児期半ばでは、(b)興味や関心のあるものに手を伸ばす行動がみられる。また、手にもった物を振り動かすなど、(c)物を介して同じ行動を繰り返すようになる。さらに、1歳頃になると、(d)ほしい物を手に入れるために様々なことをしてみるようになる。
【語群】
- ア ハンドリガード
- イ ハンドサッキング
- ウ 第3次循環反応
- エ 第2次循環反応
- オ 試行錯誤
- カ 暗中模索
- キ クーイング
- ク リーチング
(組み合わせ)
a | b | c | d | |
1 | ア | キ | ウ | オ |
2 | ア | ク | ウ | カ |
3 | ア | ク | エ | オ |
4 | イ | キ | ウ | オ |
5 | イ | キ | エ | カ |
自分の手を認識し、見つめたりしゃぶったりする赤ちゃん特有の仕草をハンドリーガードと言います。
b:ク リーチング
リーチングとは、興味・関心のあるものに対して手を伸ばすことです。
c:エ 第2次循環反応
第2次循環反応とは、外の対象物に対して同じ行動を繰り返すことです。
d:オ 試行錯誤
試行錯誤とは、様々なことに挑戦していく中で解決方法を見つけいていくことです。
次の文は、パーテン(Parten, M.B.)による子どもの遊びの分類に関する記述である。A~Dにあてはまる用語を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 他の子どもと一緒に同じ活動に関わる。
- B 自分は遊びには参加せずに、仲間が遊んでいる様子を眺めたり、口をだしたりする。
- C 他の子どものそばで同じような遊びをしているが、互いに交渉はしない。
- D 共通の目的をもって、他の子どもと協力したり役割を分担したりする。
【語群】
- ア 協同遊び
- イ 傍観遊び
- ウ 平行遊び
- エ 連合遊び
- オ 連携遊び
- カ 模倣遊び
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | カ | ウ | オ |
2 | エ | イ | ア | カ |
3 | エ | イ | ウ | ア |
4 | オ | イ | ウ | ア |
5 | オ | カ | ア | ウ |
4〜5歳児によく見られる遊びです。
B:イ 傍観遊び
2〜3歳児によく見られる遊びです。
C:ウ 平行遊び
2〜3歳児によく見られる遊びです。
D:ア 協同遊び
5〜6歳児によく見られる遊びです。
次の文は、異年齢保育についての記述である。適切な記述を◯、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A きょうだい関係の交流に近い関わりを体験することができる。
- B 年上の子どもは、自分の思いを我慢したり、思いやりを示したりすることができる。
- C 子どもの技術・体力の差が大きいので、子ども同士のやり取りは成立しない。
- D 年上の子どもをモデルに、新しいことに挑戦しようとする子どもの姿がみられる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
3 | 〇 | × | × | × |
4 | × | 〇 | × | 〇 |
5 | × | × | 〇 | × |
B:◯ 適切です。
C:× 不適切です。
技術や体力の差が大きくても子ども同士のやりとりは成立します。また、自分より年上の子を目標としたり自分より年下の子の面倒を見ようとしたりなど、異年齢次だからこそ見られるやりとりもあります。
D:◯ 適切です。
次の文は、保育における発達援助についての記述である。このような特徴を示す用語として、( )にあてはまる語句の最も適切なものを一つ選びなさい。
社会の価値や規範を身に付け、それに基づき社会の一員として行動できるようになる過程を( )という。
発達初期の( )の担い手は主に保護者といえるが、発達に伴いその担い手は保育士や教師等多様となる。
( )の一方、その子らしさを育むことにも配慮する必要がある。
( )は、人間の生涯を通じて行われる過程である。
1 | 社会的促進 |
2 | ソーシャル・アクション |
3 | 社会力 |
4 | ソーシャル・インクルージョン |
5 | 社会化 |
社会の価値や規範を身に付け、それに基づき社会の一員として行動できるようになる過程を( 社会化 )という。
発達初期の( 社会化 )の担い手は主に保護者といえるが、発達に伴いその担い手は保育士や教師等多様となる。
( 社会化 )の一方、その子らしさを育むことにも配慮する必要がある。
( 社会化 )は、人間の生涯を通じて行われる過程である。
次の文の( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
「保育所保育指針」第4章「保育の計画及び評価」の「( A )」では、「子どもに関する( B )に関して、保育所に入所している子どもの就学に際し、市町村の支援の下に、子どもの育ちを支えるための資料が保育所から小学校へ送付されるようにすること」とある。その資料とは( C )であり、あくまでも子どもの( D )の過程を保育所の側から小学校へつなぐものとして記述するよう留意することが大切である。
【語群】
- ア 小学校との連携
- イ 情報共有
- ウ 保育所児童保育記録
- エ 主体としての育ち
- オ 資料
- カ 保幼小連携
- キ 保育所児童保育要録
- ク ねらいの達成
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | イ | ウ | ク |
2 | ア | イ | キ | エ |
3 | ア | オ | キ | エ |
4 | カ | イ | ウ | エ |
5 | カ | オ | ウ | ク |
A:ア 小学校との連携
B:イ 情報共有
C:キ 保育所児童保育要録
D:エ 主体としての育ち
「保育所保育指針」第4章「保育の計画及び評価」の「( A:小学校との連携 )」では、「子どもに関する( B:情報共有 )に関して、保育所に入所している子どもの就学に際し、市町村の支援の下に、子どもの育ちを支えるための資料が保育所から小学校へ送付されるようにすること」とある。その資料とは( C:保育所児童保育要録 )であり、あくまでも子どもの( D:主体としての育ち )の過程を保育所の側から小学校へつなぐものとして記述するよう留意することが大切である。
次の下線部(a)~(e)に関連の深い用語を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
ソーシャルサポートとは、一般的には対人関係において他者から得られる種々の援助をさす。例えば(a)ストレスを引き起こす出来事や刺激に直面している者に対して、(b)励ましや愛情など感情への働きかけ、(c)問題解決のための助言・助力、などがあり、当事者の(d)精神的・身体的健康によい影響を与える効果と、(e)健康の悪化のプロセスに対して作用する効果があるとされている。
【語群】
- ア 評価的サポート
- イ テンション
- ウ 道具的サポート
- エ 促進効果
- オ 緩衝効果
- カ 情緒的サポート
- キ ストレッサー
- ク 直接効果
- ケ 補完的サポート
(組み合わせ)
a | b | c | d | e | |
1 | イ | ア | ウ | エ | オ |
2 | イ | ア | ケ | エ | ク |
3 | イ | カ | ウ | オ | ク |
4 | キ | ウ | ケ | ク | エ |
5 | キ | カ | ウ | ク | オ |
ストレスを与える刺激のことをストレッサーと言います。
b:カ 情緒的サポート
情緒面においてサポートすることを情緒的サポートと言います。
c:ウ 道具的サポート
実際的にサポートすることを道具的サポートと言います。
d:ク 直接効果
心身の健康状態に、ストレス要因の有無に関わらず直接効果を及ぼすことができることを直接効果と言います。
e:オ 緩衝効果
ストレス要因を緩衡する効果を緩衡効果と言います。
次の文は、保育士の職務に関する記述である。適切な記述を◯、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 保育士は、福祉の専門職として基盤となる知識や技術の習得はもとより、他者への共感性が求められる。
- B 「空の巣症候群」とは、情緒的に疲れ果て自己有能感が低下した状態で、保育士等の対人援助職に就いている人に多くみられる症状である。
- C 保育士としての職業生活は、個々人のアイデンティティの揺らぎや再構築に影響する。
- D 軽い気分の落ち込みがうつ状態につながることがあるため、保育所としては、保育士の心の健康維持に留意する必要がある。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | × |
3 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
4 | × | 〇 | × | × |
5 | × | × | 〇 | 〇 |
B:× 不適切です。子どもが独立した時に不安や憂鬱な状態が続くことを「空の巣症候群」と言います。
C:◯ 適切です。
D:◯ 適切です。
次の文は、ストレンジシチュエーション法を用いた、アタッチメント(愛着)のアセスメントに関する記述である。【実験場面】を読んで、【設問】に答えなさい。
【実験場面】
月齢15か月の子どもが母親と一緒にいる。その後、母親が部屋を出て、子どもが一人残った(分離場面)。その3分後に母親が部屋に戻り、子どもに再会した(再会場面)。
【設問】
次の文のうち、この再会場面におけるアセスメントについて適切な記述を◯、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 再会場面では母親に駆け寄ったが、接触する前に踵を返して、もと居た位置に駆け戻った。この子どもの母親に対するアタッチメント(愛着)には、不安定な部分があると考える。
- B 分離場面で泣いていたが、 再会場面で母親に駆け寄りぴったりと抱き付いた。 まもなく泣き止み、 母親から離れて遊びだした。 この子どもは、 安定したアタッチメント(愛着)を持っていると考える。
- C 分離場面でまったく泣かずにおもちゃで遊んでいたが、母親と再会すると3分間大声で泣き続けた。この子どものアタッチメント(愛着)には、不安定な部分があると考える。
- D 分離場面では立ったまま泣き続けていた。再会場面では、泣き止みその場に座り、おもちゃで少しの間遊んだが、再び泣き出し、泣きながら仰向けに倒れた。この子どものアタッチメント(愛着)には、不安定な部分があると考える。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | × |
3 | 〇 | × | × | × |
4 | × | 〇 | × | 〇 |
5 | × | × | 〇 | × |
B:◯ 適切です。
C:◯ 適切です。
D:◯ 適切です。
次の文は、親が子どもの障害を受容していく過程に関する記述である。適切な記述を◯、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 段階説とは、親が子どもの障害を受容していく過程は長期にわたり紆余曲折するが、いずれは障害のある子を受容するに至り、心理的に安定するという説である。
- B 慢性的悲嘆説とは、親の悲しみは一過性ではなく、子どもの成長に伴うさまざまな出来事によって繰り返されるという説である。
- C 螺旋形モデルとは、適応と落胆という障害に対する肯定と否定の両価的感情を併せ持ちながら進行していくという説である。
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | × | × |
3 | × | 〇 | 〇 |
4 | × | × | 〇 |
5 | × | × | × |
B:◯ 適切です。
C:◯ 適切です。
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
F君(5歳、男児)は、市内の児童精神科クリニックで、自閉スペクトラム症の診断を受けている。保育所では最近、他児をたたき、怪我をさせてしまうことがある。先日も、迎えにきた母親と一緒にいたF君は、そばにいたG君を押して泣かせてしまった。G君の母親もその場に居合わせ、保育士もそれを見ていた。F君の母親はF君の行動を見ても無関心で、G君やG君の母親に謝罪をせずに、そのまま帰宅してしまった。F君の母親は、最近、他の母親から孤立していることが多い。
【設問】
次のうち、保育士の対応として適切なものを◯、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A F君の母親と個別に話をする機会を設ける。
- B F君の体にあざがないか、身なりが清潔かどうかなどを確認する。
- C F君の母親も自閉スペクトラム症だと考え、母親に精神科への受診を強く勧める。
- D G君の母親に、F君は自閉スペクトラム症なので、F君とF君の母親を許すように伝える。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | × |
3 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
4 | × | × | 〇 | 〇 |
5 | × | × | × | × |
B:◯ 適切です。
C:× 不適切です。
保育士が、母親も自閉症スペクトラム症だと決めつけ、精神科絵の受診を進めることは適切ではありません。
D:× 不適切です。
G君の母親にF君の障害について話すことは適切ではありません。
次の文は、 乳幼児の社会・情緒的発達についての記述である。適切な記述を◯、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 乳幼児期は、発達の速度が速く、精神障害を同定することが困難であるため、社会・情緒的発達のアセスメントには、危険因子と保護因子の評価と、養育者との関係性の評価のみが重要となる。
- B 乳幼児が示す人との関わり方は、養育者ごとに異なる傾向が強い。
- C 両親の夫婦関係が適応的なことは、子どもの社会・情緒的発達の保護因子の一つである。
- D 家庭への社会的な支援は、乳幼児の社会・情緒的発達の保護因子ではない。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | × | × |
3 | × | 〇 | 〇 | × |
4 | × | × | 〇 | 〇 |
5 | × | × | × | × |
重要になるのは危険因子と保護因子の評価と、養育者との関係性のみではありません。
B:◯ 適切です。
C:◯ 適切です。
D:× 不適切です。
乳幼児の社会・情緒的発達の保護因子であると言えます。
1 マーラー(Mahler, M.S.)が提唱したのは、「分離個体化理論」です。
2 レヴィン(Lewin, K.)が提唱したのは、「ツァイガルニク効果」です。
3 メルツォフ(Meltzoff, A.)が提唱したのは、「新生児模倣」です。
5 ハヴィガースト(Havighurst, R.J.)が提唱したのは、「発達課題」です。