保育士試験
過去問題
平成28年度(後期)
社会的養護 平成28年度(後期)
問1
次の文は、日本の児童福祉施設の制度的な歩みに関する記述である。適切な記述を◯、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 1900(明治33)年に「感化法」が制定され、同法で少年教護院が規定された。
- B 1929(昭和4)年に「救護法」が制定され、救護施設の一つとして孤児院が法律で規定された。
- C 1948(昭和23)年に「児童福祉施設最低基準」が制定され、児童福祉施設の設備、職員の資格と配置基準等が規定された。
- D 1997(平成9)年の児童福祉法改正で、教護院の名称が児童自立支援施設に改められた。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
2 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
3 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
4 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
5 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
正解は5
問2
次の文は、「社会的養護の課題と将来像」(児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会・社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会)(平成23年7月)における「社会的養護の理念と機能」の一部である。( A )~( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- ・ 社会的養護は、保護者のない児童や、保護者に( A )させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことである。
- ・ 社会的養護は、「子どもの( B )のために」という考え方と、「( C )で子どもを育む」という考え方を理念とし、保護者の適切な養育を受けられない子どもを、社会の公的責任で保護養育し、子どもが( D )基本的な権利を保障する。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 監護 | 基本的人権の保障 | 地域 | 安全で安心して暮らせる |
2 | 養護 | 最善の利益 | 地域 | 心身ともに健康に育つ |
3 | 監護 | 最善の利益 | 社会全体 | 心身ともに健康に育つ |
4 | 養護 | 基本的人権の保障 | 社会全体 | 安全で安心して暮らせる |
5 | 監護 | 最善の利益 | 社会全体 | 安全で安心して暮らせる |
正解は3
「社会的養護の課題と将来像」の「社会的養護の理念と機能」参照。
A 監護
B 最善の利益
C 社会全体
D 心身ともに健康に育つ
A 監護
B 最善の利益
C 社会全体
D 心身ともに健康に育つ
問3
次の文は、「社会的養護関係施設における親子関係再構築支援ガイドライン」(厚生労働省 親子関係再構築支援ワーキンググループ)(平成26年3月)に示された親子関係の再構築における親に対しての具体的な支援に関する記述である。不適切な記述を一つ選びなさい。
1 | 親と協働関係を形成し、親子再構築支援の見通しを示す。親も支援プラン作成に関わる。 |
2 | 協働養育者として親を尊重し、親との信頼関係を築き、施設が親の安心できる居場所になるように支援する。 |
3 | 養育の振り返りを共にし、子どもに与えた影響を理解し、子どもとの関係改善への動機づけを行う。 |
4 | 親自身が精神的な問題(未解決なトラウマ体験や衝動コントロールや精神医学的な問題など)を有している場合は、医療機関への受診が家庭復帰の条件として義務づけられている。 |
5 | 具体的な養育方法について学べるように、モデルとなって示したり、ペアレントトレーニングを実施したりして教育的な支援をする。 |
正解は4
「社会的養護関係施設における親子関係再構築支援ガイドライン」(厚生労働省)参照。
1 〇適切です。
2 〇適切です。
3 〇適切です。
4 誤り そのような記述はありません。 「親自身が精神的な問題(未解決なトラウマ体験や衝動コントロールや精神医学的な問題など)を有している場合は、治療の必要性の自覚を促し、児童相談所と連携して治療につなげる。」とあります。
5 〇適切です。
1 〇適切です。
2 〇適切です。
3 〇適切です。
4 誤り そのような記述はありません。 「親自身が精神的な問題(未解決なトラウマ体験や衝動コントロールや精神医学的な問題など)を有している場合は、治療の必要性の自覚を促し、児童相談所と連携して治療につなげる。」とあります。
5 〇適切です。
問4
次の文は、社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会による「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために(概要)」(平成24年11月)において示された児童養護施設における小規模化及び家庭的養護の推進に関する記述である。適切な記述を〇、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 「本体施設のケア単位の小規模化」を進め、本体施設は、全施設を小規模グループケア化(オールユニット化)していく。
- B 「施設によるファミリーホームの開設や支援、里親の支援」を推進し、施設機能を地域に分散させ、施設を地域の社会的養護の拠点にしていく。
- C 社会的養護の整備量の将来像として、概ね3分の1が里親及びファミリーホーム、概ね3分の1がグループホーム、概ね3分の1が本体施設という姿に変えていく。
- D 将来の児童養護施設の姿は、すべて地域小規模児童養護施設とすることを推進する。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
3 | 〇 | × | × | 〇 |
4 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
5 | × | × | 〇 | × |
正解は1
「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進のために(概要)」参照。
A 〇適切です。
B 〇適切です。
C 〇適切です。
D ✕不適切です。
そのような記述はありません。将来の児童養護施設の姿は、「一施設につき、小規模グループケア6か所までと小規模児童養護施設1か所を持ち、小規模グループケアは本体施設のユニットケア型のほか、できるだけグループホーム型を推進する。また、1施設につき概ね2か所以上のファミリーホームを開設又は支援するとともに、里親支援を行う」とあります。
A 〇適切です。
B 〇適切です。
C 〇適切です。
D ✕不適切です。
そのような記述はありません。将来の児童養護施設の姿は、「一施設につき、小規模グループケア6か所までと小規模児童養護施設1か所を持ち、小規模グループケアは本体施設のユニットケア型のほか、できるだけグループホーム型を推進する。また、1施設につき概ね2か所以上のファミリーホームを開設又は支援するとともに、里親支援を行う」とあります。
問5
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
Sちゃん(1歳11ヶ月、男児)は、乳児院に入所してもうすぐ2年になる。母親は、Sちゃんが生まれてすぐに家出をし、養育に困った父親(37歳)が児童相談所に相談したことから施設入所となった。父親はタクシーの運転手として正規雇用となったばかりで、養育の手伝いを頼める親族はいない。Sちゃんに発達・発育上の問題はなく、週に一度面会に来る父親になついている。父親は、「今は引き取れないが、Sが小学校高学年頃になって身の回りのことを自分でできるようになれば引き取りたい」と言っている。
【設問】
この【事例】における乳児院の支援方針として、最も適切なものを一つ選びなさい。
1 | 当面引き取りは見込めないことから、児童養護施設への措置変更を児童相談所と検討する。 |
2 | 父親がすぐにSちゃんを引き取ることができるように、転職を勧める。 |
3 | 母親を探し出し、母親にSちゃんの引き取りを促す。 |
4 | Sちゃんを引き取ることができる環境にするため、母親と離婚手続きを取り、再婚をするよう父親に促す。 |
5 | 父親はSちゃんを養育することができないと判断し、養子縁組里親を検討する。 |
正解は1
1 〇適切です。
適切な対応です。
2 ✕不適切です。
「今は引き取れない」と言っている事、仕事で正規雇用になったばかりという点から、すぐに転職を勧めるのは不適切です。
3 ✕不適切です。
「いずれSちゃんを引き取りたい」と言っている父親に対して乳児院のそのよう対応は不適切です。
4 ✕不適切です。
離婚は当事者が決めることです。
5 ✕不適切です。
父親は将来的にSちゃんの引き取りを希望しているので、この時点で養子縁組を検討することは不適切です。
適切な対応です。
2 ✕不適切です。
「今は引き取れない」と言っている事、仕事で正規雇用になったばかりという点から、すぐに転職を勧めるのは不適切です。
3 ✕不適切です。
「いずれSちゃんを引き取りたい」と言っている父親に対して乳児院のそのよう対応は不適切です。
4 ✕不適切です。
離婚は当事者が決めることです。
5 ✕不適切です。
父親は将来的にSちゃんの引き取りを希望しているので、この時点で養子縁組を検討することは不適切です。
問6
次の文は、入所型の児童福祉施設における子どもの養育・支援に関する記録についての記述である。適切な記述を◯、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 施設は集団生活が基本であり、集団における関わりの状況が重要なため、子ども一人一人の記録の必要はなく、生活集団ごとの様子について記録する。
- B 施設は多職種の職員によってチームで児童の支援を行っているため、必要に応じて記録を共有する。
- C 日々の記録は、支援計画が適切に取り組まれ、その結果効果がみられたかを確認する資料となる。
- D 記録内容について職員間でばらつきが生じないように、施設内で共通の記録様式を用いるなど工夫する必要がある。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | × | × | × |
3 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
4 | × | 〇 | × | 〇 |
5 | × | × | 〇 | × |
正解は3
A ✕不適切です。
入所児童一人一人の個性や状況に基づくきめ細かいケアが求められるため、個々の記録をします。
B 〇適切です。
C 〇適切です。
D 〇適切です。
入所児童一人一人の個性や状況に基づくきめ細かいケアが求められるため、個々の記録をします。
B 〇適切です。
C 〇適切です。
D 〇適切です。
問7
次の文は、障害児入所施設の役割についての記述である。( A )~( C )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
障害児入所施設には、家庭ではできない( A )や訓練を行うという役割があるが、家庭で養育することが難しい等、家庭の養育機能上の問題で入所する場合もある。そのため障害児入所施設でも( B )を考慮した援助が必要となっている。こうした役割を担うため、保育士は、入所児童の生活支援に加えさらに( C )も含めたさまざまな役割を期待されるようになっている。
【語群】
- ア 早期療養
- イ 就労移行支援
- ウ 医学的処置
- エ 家庭環境
- オ 家庭支援
- カ 医療行為
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | ア | ウ | カ |
2 | ア | エ | オ |
3 | イ | ウ | オ |
4 | イ | ウ | カ |
5 | イ | エ | カ |
正解は2
A 早期療育
B 家庭環境
C 家庭支援
障害児入所施設は訓練、知識の習得などの支援と共に、入所児童の要保護性に配慮した家庭支援も重要です。
※障害児入所施設の根拠法は、児童福祉法です。
B 家庭環境
C 家庭支援
障害児入所施設は訓練、知識の習得などの支援と共に、入所児童の要保護性に配慮した家庭支援も重要です。
※障害児入所施設の根拠法は、児童福祉法です。
問8
次のうち、「児童養護施設入所児童等調査結果(平成年25月2月1日現在)」(厚生労働省)の各施設(里親)における児童の入所(委託)時の年齢の構成割合が最も高いものとして適切な記述を◯、 不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 母子生活支援施設 ―― 約10歳
- B 児童自立支援施設 ―― 約13歳
- C 里親 ―― 約2歳
- D 児童養護施設 ―― 約6歳
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | 〇 | × | 〇 |
3 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
4 | × | 〇 | 〇 | × |
5 | × | × | × | 〇 |
正解は4
A ✕不適切です。
約0歳が13.5%で構成割合が最も高くなっています。
B 〇適切です。
C 〇適切です。
D ✕不適切です。
約2歳が21.4%で構成割合が最も高くなっています。
約0歳が13.5%で構成割合が最も高くなっています。
B 〇適切です。
C 〇適切です。
D ✕不適切です。
約2歳が21.4%で構成割合が最も高くなっています。
問9
次の文は、「児童養護施設入所児童等調査結果(平成25年2月1日現在)」(厚生労働省)に基づく、ある施設種別の状況である。この内容に該当する施設種別として正しいものを一つ選びなさい。
- ・「就学状況」は、「中学校」が約80 %である。
- ・「心身の状況」の「障害等あり」のうち、「ADHD」が約15 %である。
- ・「学業の状況」で「遅れがある」が約60 %である。
- ・「養護問題発生理由」で一般的に「虐待」とされるものが約40 %である。
- ・「児童の今後の見通し」では「保護者のもとへ復帰」が約60 %である。
1 | 情緒障害児短期治療施設 |
2 | 児童発達支援センター |
3 | 児童養護施設 |
4 | 児童厚生施設 |
5 | 児童自立支援施設 |
正解は5
児童自立支援施設とは、犯罪などの不良行為をしたりするおそれがある児童や、家庭環境等から生活指導を要する児童を入所または通所させ、必要な指導を行って自立を支援する児童福祉施設です。退所後の児童に対しても必要な相談や援助を行います。
※根拠法は児童福祉法です。
※根拠法は児童福祉法です。
問10
次の文は、入所型の児童福祉施設の運営管理に関する記述である。適切な記述を◯、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 入所児童等に関する情報管理の一環として、児童福祉施設の職員は、退職した職員を除き、利用者である子どもや家族の業務上知り得た秘密を漏らしてはならないという秘密保持義務がある。
- B 入所児童の健康管理の一環として、入所児童に対し、入所時の健康診断、少なくとも 1年に2回の定期健康診断及び臨時の健康診断を、「学校保健安全法」に規定する健康診断に準じて行わなければならない。
- C 児童福祉施設の職員の健康管理の一環として、定期的に健康診断を行うとともに、特に入所児童の食事を調理する者に対して綿密な注意を払わなければならない。
- D 職員の人事管理の一環として、必要に応じて精神科医などに相談できる窓口を施設内外に確保するなど、職員のメンタルヘルスに留意する。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
2 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
3 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
4 | × | 〇 | × | × |
5 | × | × | × | 〇 |
正解は3
A ✕不適切です。
退職した職員にも秘密保持義務があります。「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第14条の2第2項参照。
B 〇適切です。
C 〇適切です。
D 〇適切です。
退職した職員にも秘密保持義務があります。「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第14条の2第2項参照。
B 〇適切です。
C 〇適切です。
D 〇適切です。
B 〇適切です。
C 〇適切です。
D 〇適切です。