保育士試験
過去問題
平成29年度(前期)
保育の心理学 平成29年度(前期)
次の文は、「保育所保育指針」第2章「子どもの発達」の一部である。( A )~( D )にあてはまる語句の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
特に大切なのは、人との関わりであり、愛情豊かで思慮深い大人による( A )などを通して、大人と子どもの相互の関わりが十分に行われることが重要である。この関係を起点として、次第に他の子どもとの間でも相互に働きかけ、関わりを深め、人への信頼感と( B )を形成していくのである。
これらのことを踏まえ、保育士等は、次に示す子どもの発達の特性や( C )を理解し、発達及び生活の( D )に配慮して保育しなければならない。(後略)
【語群】
- ア 教育的働きかけ
- イ 保護や世話
- ウ 自己の主体性
- エ 発達段階
- オ 自己への信頼感
- カ 発達過程
- キ 一貫性
- ク 連続性
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | ウ | エ | ク |
2 | ア | オ | エ | キ |
3 | ア | オ | カ | ク |
4 | イ | ウ | カ | キ |
5 | イ | ウ | カ | ク |
次の記述によって説明される用語として最も適切なものを一つ選びなさい。
出生から死に至る過程において、人が一定の段階をたどり、次世代に生命を受け継いでいくことを意味する。
1 | ライフレビュー |
2 | ライフサイクル |
3 | 発達課題 |
4 | ライフコース |
5 | 発達過程 |
エリクソンは、人間のライフサイクルを(乳児期、幼児期、遊戯期、学童期、思春期、成人期、壮年期、老年期)の8つに分け、人の発達は生涯にわたるという理論を唱えました。
次の記述に該当する人物として正しいものを一つ選びなさい。
- ・ 人間の発達では、初めに社会的関係があり、それが内面化すると考えた。
- ・ 他者とのコミュニケーションに用いる言葉を外言とした。
- ・ 子どもの独語は、自分の思考のための言葉になる移行過程であると捉えた。
1 | ワロン(Wallon, H.) |
2 | ボウルビィ(Bowlby, J.) |
3 | ガードナー(Gardner, H.) |
4 | ロスパート(Rothbart, M.K.) |
5 | ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.) |
1 ワロン(Wallon,H.)はフランスの心理学者(1879~1962)で、障害児の治療に従事し、精神障害は生物学的原因だけでなく、社会的原因にもよることを明らかにしました。
2 ボウルヴィ(Bowlby,J.)は、愛着理論(愛着行動、アタッチメント、内的ワーキングモデル)などを提唱しました。
3 ガードナー(Garder,H.)は多重性知能理論(人間の知能には多様な分野がある)を唱えました。
4 ロスバード(Rothbart,M.K)はアメリカの政治哲学者であり、著書の「自由の倫理」の中で、全ての人間に適用される共通原則である道徳規範として完全な自治(自己所有)の権利を提唱しました。
次の文は、仲間同士の関わりについての記述である。( A )~( C )にあてはまる用語を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
友だちと一緒に遊ぶようになると、子どもは、自分のやりたいことと相手がやりたいことがぶつかり合い、いざこざやトラブルを経験するようになる。子どもは他者との関係のなかで、自分の欲求をぶつけ、実現しようとする( A )と、欲求を我慢しようとする( B )の両方を求められる。友だちとの関係を築くためには、この両者のバランスを調整する( C )が必要になる。
【語群】
- ア 攻撃性
- イ 自己主張
- ウ 自己抑制
- エ 抑圧
- オ 欲求不満耐性
- カ 自己制御
(組み合わせ)
A | B | C | |
1 | ア | ウ | オ |
2 | ア | エ | オ |
3 | イ | ウ | オ |
4 | イ | ウ | カ |
5 | イ | エ | カ |
次の文は、乳児の身体・運動の発達に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 乳児の運動機能の発達は、頭部から足部へ、身体の中心部から末梢へ、粗大運動から微細運動へという方向性と順序がある。
- B 一般的に、平均体重は2,900~3,000g前後、平均身長は49cm前後で生まれるが、生後1年で体重は約3倍、身長は約1.5倍になる。
- C 生後8か月頃になると、物と物を打ち合わせる、物を容器に入れる、小さい積木を高く積みあげることができるようになる。
- D 手に触れたものを握ろうとする把握反射が新生児にみられ、生後3か月になると指さしが出現する。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | × |
2 | ◯ | ◯ | × | × |
3 | ◯ | × | ◯ | × |
4 | × | ◯ | ◯ | ◯ |
5 | × | × | × | ◯ |
B ○ 適切です。
C × 不適切です。生後8か月ころは、両手に積み木などを持ち、物と物を打ち合わせることができるようになりますが、物を容器に入れたり、積木を高く積みあげることができるのは、生後1歳~1歳半ごろです。
D × 不適切です。赤ちゃんが自発的に指差しを始めるのは、生後9・10か月ごろからです。
次の文は、「保育所保育指針」第3章「保育の内容」のイ「人間関係」の一部である。 ( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- ・( A )と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共感し合う。
- ・( B )など、自分とは異なる文化を持った人に親しみを持つ。
- ・友達の良さに気付き、( C )楽しさを味わう。
- ・良いことや悪いことがあることに気付き、( D )行動する。
【語群】
- ア 保育士
- イ 友達
- ウ 外国人
- エ 異年齢の友達
- オ 一緒に活動する
- カ 協力してやり遂げる
- キ 決まりどおりに
- ク 考えながら
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | ウ | オ | キ |
2 | ア | エ | オ | キ |
3 | ア | エ | カ | ク |
4 | イ | ウ | オ | ク |
5 | イ | エ | カ | ク |
“第3章「保育の内容」のイ「人間関係」”は“第2章「保育の内容」のの2「1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容」、3「3歳以上児の保育に関するねらい及び内容」(2)イ「人間関係」”に変更となりました。
・( 友達 )と積極的に関わりながら喜びや悲しみを共感し合う。
・( 外国人 )など、自分とは異なる文化を持った人に親しみを持つ。
・友達の良さに気付き、( 一緒に活動する )楽しさを味わう。
・良いことや悪いことがあることに気付き、( 考えながら )行動する。
次の文は、学童期の知的発達についての記述である。次の下線部(a)~(d)に該当する用語を【語群】から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
ピアジェ(Piaget,J.)は、子どもの知的発達のなかで、(a)数、重さ、体積などの保存が獲得される時期を示した。例えば、(b)子どもが見ている前で、球状の粘土をソーセージ形に変える実験を行った。
この時期には様々な思考活動に可逆性や相補性が加わり、(c)物の分類、順序づけに必要な操作が発達し、次に(d)抽象的・論理的な操作が可能となる時期へと向かう。
【語群】
- ア 形式的操作期
- イ 具体的操作期
- ウ 密度の保存
- エ 重さの保存
- オ 群性体
- カ 同化
(組み合わせ)
a | b | c | d | |
1 | ア | ウ | カ | イ |
2 | ア | エ | オ | イ |
3 | ア | エ | カ | イ |
4 | イ | ウ | カ | ア |
5 | イ | エ | オ | ア |
(b)子どもが見ている前で、球状の粘土をソーセージ形などに変える実験では形を変えても重さは変わらないという重さの保存の概念を獲得するのも具体的操作期です。
(c)物の分類、順序づけに必要な操作の発達とは、自分の頭の中で筋道を立てて、物事を考えることが可能になることであり、群性体といいます。
(d)抽象的・論理的な操作が可能となる時期は、認知発達段階の順番をたどると、具体的操作期の次の段階である、形式的操作期だと判断ができます。12歳~成人です。
次の文は、乳児の知覚の実験についての記述である。この実験で用いられている測定法の名称として正しいものを一つ選びなさい。
乳児に、ある視覚刺激を繰り返し提示すると、最初のうちは長く注視するが、回数を重ねるにつれて注視時間が短くなった。そこで別の視覚刺激に変えて提示すると、注視時間が回復し長くなった。このような測定結果の場合、乳児は最初の刺激と次の刺激とを区別していることが明らかになる。
1 | 選好注視法 |
2 | 馴化・脱馴化法 |
3 | ソーシャル・リファレンシャル法 |
4 | 視覚走査法 |
5 | ストレンジ・シチュエーション法 |
2 〇 適切です。この実験は「馴化・脱馴化」についての説明です。回数を重ねるにつれて注視時間が短くなったということで、「馴化」とは馴れという意味であり「脱馴化」とは、馴化が生じた後に、異なる刺激が与えられることにより、新たな刺激に対する反応が起こることをいいます。
3 × 不適切です。ソーシャル・リファレンシャル法とは「社会的参照」のことであり、戸惑ったときに母親や保育士などを見て、反応をうかがってから、行動をおこすことをいいます。
4 × 不適切です。視覚走査法とは、手や物を動かして、その方向へ意識的に目線を追わせる方法です。
5 × 不適切です。ストレンジ・シチュエーション法とはエインズワースが考案しました。人見知りの激しい満1歳児を対象とし、実験室で母子分離と再会などへの子どもの反応を組織的に観察する方法です。
次の文は、学童期の仲間関係についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 仲間は、観察学習のモデルとして相互に影響を及ぼし合う存在である。
- B 学童期の初めでは特に、学級内での役割分担が仲間形成の要因になりやすい。
- C 学童期の初めには、閉鎖性の強いギャング・グループが生まれやすい。
- D 学童期の終わり頃になると、興味・関心や価値観などの内面的な特性による結びつきが強くなる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × | × |
3 | ◯ | × | × | ◯ |
4 | × | ◯ | ◯ | × |
5 | × | × | ◯ | ◯ |
B × 不適切です。学童期の初めでは特に、席が近い、同じグループである、家が近い、などといった事が仲間形成の要因となります。学級内での役割分担による仲間形成は学童期中期から後期に生まれやすいと言われています。
C × 不適切です。ギャング・グループは9歳頃(学童期中期から後期)に見られます。
D ○ 適切です。
次の文は、乳児の生理的反応についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 大脳皮質が成熟、発達してくると随意運動が原始反射に取って代わるようになる。
- B 消失すべき消失すべき時期になっても原始反射が持続する場合、発達の遅れ等が疑われる。
- C 乳児期初期の泣きや微笑は生理的であっても、養育行動を引き出す特性がある。
- D 反射に顕著な左右差があるときには、部分的な運動・感覚機能の異常が疑われる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × | × |
3 | ◯ | × | × | ◯ |
4 | × | × | ◯ | ◯ |
5 | × | × | ◯ | × |
B 〇 適切です。消失すべき時期とは4~6か月頃です。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
次の文は「保育所保育指針」 第2章 「子どもの発達」 の(6)「おおむね4歳」の一部である。( A )~( D )にあてはまる語句を 【語群】 から選択した場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
全身の( A )が発達し、体の動きが巧みになる。(中略)目的を持って行動し、つくったり、かいたり、 試したりするようになるが、自分の( B )を予測して不安になるなどの葛藤も経験する。仲間との( C )が強くなる中で、けんかも増えてくる。その一方で、決まりの大切さに気付き、守ろうとするようになる。感情が豊かになり、身近な人の気持ちを察し、少しずつ自分の( D )たり、 我慢ができるようになってくる。
【語群】
- ア バランスを取る能力
- イ 協応動作
- ウ 得意や不得意
- エ 行動やその結果
- オ 競争心
- カ つながり
- キ 要求伝達を高め
- ク 気持ちを抑えられ
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | ウ | オ | キ |
2 | ア | ウ | カ | ク |
3 | ア | エ | カ | ク |
4 | イ | ウ | オ | キ |
5 | イ | エ | オ | ク |
平成30年に保育所保育指針が改定され、設問の第2章は削除されました。
全身の( バランスを取る能力 )が発達し、体の動きが巧みになる。(中略)目的を持って行動し、つくったり、かいたり、 試したりするようになるが、自分の( 行動やその結果 )を予測して不安になるなどの葛藤も経験する。仲間との( つながり )が強くなる中で、けんかも増えてくる。その一方で、決まりの大切さに気付き、守ろうとするようになる。感情が豊かになり、身近な人の気持ちを察し、少しずつ自分の( 気持ちを抑えられ )たり、 我慢ができるようになってくる。
次の文は、子どもの生活における片づけについての記述である。( A )~( D )にあてはまる語句の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
片づけは、保育所での生活を過ごしやすくするために必要な( A )の一つである。2・3歳児クラスではまず保育士が声をかけ、( B )を示すなどして取り組まれていく。そして、一つの遊びから次の遊びに移る前には片づけることを繰り返し促したり、子どもの( C )に伴って、玩具の片づけ方を図示したりして片づけの( D )が獲得されるよう配慮していく。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | 意識行動 | モデル | 認知発達 | フレーミング |
2 | 生活行動 | 指示 | 身体発達 | フレーミング |
3 | 生活行動 | モデル | 認知発達 | スクリプト |
4 | 意識行動 | 指示 | 身体発達 | フレーミング |
5 | 意識行動 | モデル | 身体発達 | スクリプト |
Dのスクリプトとは台本のようなものです。例えば、レストランでのスクリプト。レストランに入る→席を探す→座る→メニューを見る→注文する…このような一連の流れを構造化して保存してあるのがスクリプトです。
次の記述に該当する用語として正しいものを一つ選びなさい。
- ・環境自体が人の関わり方の手がかりをもっている、と捉えている。
- ・環境を通して行う保育においては、子どもが自然と「~したくなる要素」をもっていることを意味する。
- ・アメリカの知覚心理学者であるギブソン(Gibson, J.J.)によって提唱された。
1 | アルゴリズム |
2 | インクルージョン |
3 | エンパワメント |
4 | アドボカシー |
5 | アフォーダンス |
1 アルゴリズム:物事を行うときの「やり方」のことです。
2 インクルージョン:社会的包括を意味します。
3 エンパワメント:自立する力を得ることや、それを支援することをいいます。
4 アドボカシー:代弁することをいいます。
次の文は、子どもの自立に関する記述である。( A )~( D )にあてはまる語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
社会化の過程の初期段階に( A )の確立が位置づけられる。食事・排泄・睡眠といった人間の生理的活動を( B )に統制することを学ぶ。身辺自立の過程は、手の技能、認知の発達、( C )、生活経験のあり方などと深く関わる。その基盤となるのは、大人との間の信頼関係、適切な行動モデルの観察によるため、子どもの( D )を尊重してこそ、自立への歩みとなる。
【語群】
- ア 他者との社会的相互作用
- イ 基本的生活習慣
- ウ 社会的に承認される様式
- エ 生体リズムに対応した様式
- オ 仲間関係の発達
- カ 自我の発達
- キ 自発性や自尊心
- ク 手指の巧緻性や協応性
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ア | ウ | オ | キ |
2 | ア | ウ | カ | ク |
3 | ア | エ | オ | ク |
4 | イ | ウ | カ | キ |
5 | イ | エ | オ | ク |
次の文は、レディネスに関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A レディネスとは、学習の成立にとって必要な個体の発達的素地、心身の準備性を意味する。
- B レディネスの形成には、成熟要因と学習要因の両者がともに関連すると考えられるようになってきている。
- C ゲゼル(Gesell, A.L.)による成熟優位説のレディネス観は、かつての「待ちの教育」に影響を及ぼした。
- D 教育のカでレディネスそのものをつくりだすためには、教育は早ければ早いほど良いと考えられている。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | ◯ | × |
3 | ◯ | × | × | ◯ |
4 | × | × | ◯ | ◯ |
5 | × | × | × | × |
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。レディネスとは学習にとって必要な、心身の準備性を意味していることから「教育は早ければ早いほど良い」とするDは不適切だと判断できます。
次の【事例】を読んで【設問】に答えなさい。
【事例】
最近4歳児クラスに入所してきたPちゃん(女児)が自由遊びの時間に、破れた折り紙を手に持って、保育室の隅で小さい声で泣き始めた。同じクラスのH君(男児)はPちゃんが泣いていることに気づいて、自分のお絵描き遊びの手を止めて「どうしたの?」と近づき、自分のポケットティッシュを取り出しPちゃんに渡すと、Pちゃんは涙を拭いた。H君が「折り紙ほしいの?」とたずねると、Pちゃんはうなずいたので、H君は保育室の子ども用の道具棚から折り紙を取り出し、「ここから出して使うんだよ」と優しくPちゃんに教えて、折り紙を渡した。そのあとH君は自分のお絵描き遊びに戻っていった。
【設問】
PちゃんへのH君の行動に関する用語として、最も適切なものを一つ選びなさい。
1 | 間主観的行動 |
2 | レジリエンス |
3 | 情動抑制行動 |
4 | 向社会的行動 |
5 | アサーション |
1 間主観的行動とは、相手の視線や声、表情やジェスチャーを通じて相手の感情を感じ取る行動です。
2 レジリエンスとは、困難に直面している状況に対してうまく対応できる力、うまく適応していく過程、適応した結果を意味します。
3 情動抑制行動とは、自分の感情をコントロールしたり、相手の気持ちを考えるといった行動です。
5 アサーションとは、自分も相手も大事にして主張はしっかり行うものの、相手は傷つけないコミュニケーション法です。
次の文は、乳幼児と親の関係性のアセスメントについての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 子どもが発達障害の場合、親子関係のアセスメントは不要となる。
- B 親が子どもをどのように捉え、感じているかについて、アセスメントすることが求められる。
- C アタッチメント(愛着)関係のみをアセスメントすれば十分である。
- D 母親の愛着関係は、父親の愛着関係と同一であると考えて良い。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | × | ◯ | ◯ |
3 | ◯ | × | × | ◯ |
4 | × | ◯ | × | × |
5 | × | × | ◯ | × |
A × 不適切です。発達障害の場合でも親子関係のアセスメントは必要です。
B ○ 適切です。
C × 不適切です。愛着の他にも環境や養育など様々な要因のアセスメントが必要です。
D × 不適切です。母親と父親は、性格や養育、考え方や役割も違うので「同一である」という考え方は不適切です。
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
保育所に通所しているR君(6歳、男児)。昼間の排泄は自立しているが、夜尿が続いている。このことについて悩んでいるR君の母親から担当保育士に相談があった。
【設問】
担当保育士が取るべき対応として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 母親の気持ちを共感しつつ、「子どもの発達の過程はさまざまなので、焦らずに一緒に考えていきましょう」と伝える。
- B 実行に移せる対応方法を母親と共に考え、保育所と家庭で実践していく。
- C 就学までには夜尿を改善しなければならないため、医療機関で薬を処方してもらうよう勧める。
- D 母親の話を聴くにとどめる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × | × |
3 | ◯ | × | ◯ | ◯ |
4 | × | × | ◯ | ◯ |
5 | × | × | × | × |
B 〇 適切です。常に保育所と家庭の連携は必要です。
C × 不適切です。就学までに無理に夜尿を改善する必要はありません。また保育士が医療機関の受診を勧めることは良いですが、薬の処方を勧めるのは医師です。
D × 不適切です。保護者の話をただ聴くだけではなく、一緒に協力し、今後について考えていくことが必要です。
次の文は、児童虐待についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 被虐待体験は、心的外傷とはなり得ない。
- B 被虐待体験は、社会・情緒的問題を生むが、脳に器質的・機能的な影響を与えない。
- C 発達障害は、虐待を受ける危険因子の一つである。
- D 一般に被虐待児への支援は、多機関による連携が求められる。
(組み合わせ)
A | B | C | D | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
2 | ◯ | × | × | ◯ |
3 | × | ◯ | ◯ | × |
4 | × | × | ◯ | ◯ |
5 | × | × | × | ◯ |
B × 不適切です。脳に器質的・機能的な影響を与えることもあります。
C 〇 適切です。
D 〇 適切です。
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
自閉症と診断されている3歳2か月の男児が、次年度から保育所に入所してくることになった。
【設問】
次のうち、この保育所での対応として適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
- A 保護者から本児の行動の特徴を詳しく聴いた。
- B 本児が利用できる社会資源について調べた。
- C 保護者面談では、育児の大変さを訴える保護者の話に耳を傾けた。
- D ストレスを与えないようにと、入所まで保育所に本児を来させないように保護者に伝えた。
- E 本児が保育所の様子を事前に知ることができるように、保育所内の様子を写真に撮って保護者に渡した。
(組み合わせ)
A | B | C | D | E | |
1 | ◯ | ◯ | ◯ | × | ◯ |
2 | ◯ | ◯ | × | × | × |
3 | ◯ | × | ◯ | ◯ | ◯ |
4 | × | × | × | ◯ | × |
5 | × | × | × | × | ◯ |
B 〇 適切です。
C 〇 適切です。
D × 不適切です。入所する事前に来所することで、あらかじめ保育所の様子を知り、少しでも慣れておくことでストレス軽減につながることもあります。
E 〇 適切です。
平成30年に保育所保育指針が改定され、設問の第2章はすべて削除されました。
特に大切なのは、人との関わりであり、愛情豊かで思慮深い大人による( 保護や世話 )などを通して、大人と子どもの相互の関わりが十分に行われることが重要である。この関係を起点として、次第に他の子どもとの間でも相互に働きかけ、関わりを深め、人への信頼感と( 自己の主体 )を形成していくのである。
これらのことを踏まえ、保育士等は、次に示す子どもの発達の特性や( 発達過程 )を理解し、発達及び生活の( 連続性 )に配慮して保育しなければならない。(後略)