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保育士試験について

解説!児童福祉法

解説!児童福祉法

解説!児童福祉法

児童福祉法は社会福祉六法のひとつであり、保育士試験の「社会的養護」「こども家庭福祉」において頻出の法律です。
法律は児童の定義から始まり、全ての子どもに対して児童福祉を保障するために、児童が持つ権利や受けることができる支援などについて記載されており、保育に従事するものであれば、子どもを守るために必ず理解しておかなければならないからです。保育士は「児童福祉法」にもとづく国家資格で、第18条第4項に定義されています。

児童福祉法成立の背景

児童福祉法は1947年(昭和22年)に公布され、翌1948年(昭和23年)4月に全面施行されました。施行当時はまだ戦後の混乱の只中にあり、日本中で戦災孤児が溢れ、貧困からの飢えや病気で命を落としたり、大人から安い労働力として酷使されたりしていました。 そこで、そのような状況から子ども達を救うために、児童福祉法が成立されることとなりました。そのため、児童福祉法の第一条~第三条には以下のように記載されています。

第一条

全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。

第二条

全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。
 ○2 児童の保護者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を負う。
 ○3 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。

第三条

前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。


つまり、児童は社会的弱者として基本的人権が保護される存在であり、児童が将来の日本社会を担う存在としての社会的意義を認めた上で、国民がそれぞれの立場において児童の育成に背金を持つべきである、としています。
「心身ともに健やかに育成され」とは、児童が生まれてから成人になるまで、心身共に健全に成長するよう、親及び周囲の全てが努力しなければならないことを意味しています。

また、親など親権を行使するものは民法によって児童に対する責任が定められていますが、それだけではなく、児童を現に監護している者、国及び地方公共団体に対して児童の福祉に対する責任を持つこととしています。

児童福祉法の目的

児童福祉法は、児童の福祉を保障するための原理、家庭と同様の環境における養育の推進、国・地方公共団体の役割と責務、児童虐待の防止などを明確にするために施行されています。
また、1947年に公布されてから、1956年、2009年、2015年、2016年とその時の子育て環境や社会情勢に合わせて内容の追加及び改訂が行われています。 例えば、1956年は延長・夜間保育の実施について、09年保育制度の改定、15年は子育て支援事業の法定化などが追加されています。

直近の2016年では、年々増加し続ける児童虐待の問題に対処するために改訂されました。2018年(平成30年)児童虐待の相談件数は件数は15万9850件で、前年度より2万6072件(19.5%)増え、過去最多を更新しました。
虐待の相談件数の増加の理由には、虐待に対することの認識の高まり、面前DVなどの心理的虐待に係る相談対応件数の増加、警察等からの通告の増加などが要因としてあげられています。
虐待対策強化としては以下の点が改正されています。

1.児童福祉法の理念の明確化等

全ての児童を健全に育成するために、改正後は第一条~第三条まで大幅に文言を追加し、家庭と同様の環境における養育の推進、国・都道府県・市町村それぞれの役割・責務がより明確にされています。

2.児童虐待の発生予防

児童虐待の発生を予防するために、支援を必要とする親を発見した医療機関や学校は、速やかに市町村に情報提供すること、また、国・地方公共団体、市町村における妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援についても明記されました。

3.児童虐待発生時の迅速・的確な対応

児童虐待が発生した場合の、都道府県及び市町村における支援と措置が明確化され、それぞれの機関に配置する専門職についても記載されています。
また、医療施設や学校等は児童相談所などから被虐待児の情報が求められた際は資料を提供できるものとしています。

4.被虐待児童への自立支援

被虐待児童に対しては、①親子関係の再構築支援 ②里親委託等の推進 ③18歳以上の者に対する支援の継続 を支援の柱とし、親子関係の再構築を前提とするも、施設入所や里親委託の措置が決まった場合には、児童の状況に応じた支援を行い、将来の自立に結びつけるとしています。

保育士資格について

皆さんが目指す保育士資格についても児童福祉法の中で定められています。試験によく出題される条文は以下の通りです。

第十八条の四

この法律で、保育士とは、第十八条の十八第一項の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。

第十八条の二十一

保育士は、保育士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。

第十八条の二十二

保育士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保育士でなくなつた後においても、同様とする。

第十八条の二十三

保育士でない者は、保育士又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない。

上から保育士の定義、信用失墜行為の禁止、守秘義務、保育士資格の名称独占化となります。
また、第三章 事業、養育里親及び養子縁組里親並びに施設において、保育士の役割について以下のように定められていますので、こちらもチェックしておきましょう。

第四十八条の四

保育所は、当該保育所が主として利用される地域の住民に対してその行う保育に関し情報の提供を行い、並びにその行う保育に支障がない限りにおいて、乳児、幼児等の保育に関する相談に応じ、及び助言を行うよう努めなければならない。
○2 保育所に勤務する保育士は、乳児、幼児等の保育に関する相談に応じ、及び助言を行うために必要な知識及び技能の修得、維持及び向上に努めなければならない。


児童福祉法は何度も改正されてきた法律であり、今後も改正を繰り返していくことでしょう。改正年度がご自身が受験する試験の基準日内であれば、必ず改正された内容を確認しておく必要があります。
今後の改正ポイントとしては、最終の改正では見送られた体罰を明確に禁止する「懲戒権既定」があげられます。
どこまでがしつけで、どこからが虐待にあたるのかの線引きの判断は難しく、慎重な対応が求められるでしょう。

試験対策で、全ての条文を覚える必要はありませんが、1947年の公布からどのような変遷をたどり、どのようなことが定められているのか、一度目を通しておくとよいでしょう。

児童福祉法原文はこちらをチェック

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