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「理想の母親」「いい母親」なんてファンタジーです!

2020年10月31日 ニュース

親子関係を研究する甲南大学の臨床心理学の教授 高石恭子さんは、「育児放棄の根底にあるのは、子育て中の女性を追い詰める日本社会の特有な意識があるから」と指摘しています。
育児中の母親は「まさにその通り!」と思うでしょう。理想の母親や良い母親なんてファンタジーの世界にしかいないのです。

「いい母親でいなければ」と思い詰める母親たち

多くの人の相談を受けてきた高石さんは、「母性本能があるんだから、母親なら絶対に自分の子どもを愛せるはずだ」といった神話に未だに多くの人がとらわれている、と話しています。
「いい母親でいなければ」という気持ちが「子育てがつらい」という声を上げにくくしているのでは、と話しています。
母親自身ではなく、社会全体でも無意識に掲げている理想の母親像を問い直す必要があると語っています。

一般的な正解から外れた助言をしにくい行政

子育て支援の制度やサービスはかなり充実してきました。しかし、本当に悩んでいる人を救えているのかと問い直すと、必ずしもそうでないかもしれません。
行政の専門家にはそれぞれ立場があり、あまりにも一般的な正解から外れた助言がしにくいのです。
育児に悩んでいる人が勇気を出して自治体を頼って相談したのに、正論で励まされても何一つ救われないし、逆に「あなたはいい母親ではない」と責められているように感じてしまうでしょう。
その結果、孤立を深めてしまい、家に子どもを閉じ込めて出かける、といった行動に出てしまうのです。
そして子どもに何かあった場合、母親だけが社会から責められます。同じく育児中の母親なら、子どもを置いて出かけた母親だけを責める気持ちにはなれないでしょう。

子育ては母親だけではなく社会で担うという意識をもっと広めるべき

核家族で母親が1人で育児をするようになったのは高度経済成長期以降。まだまだ短い歴史の中で始まったことです。
受験や仕事のように自分が頑張ればなんとかなるという考え方は、子育てには全く通用しなく、むしろマイナスです。
英国の小児科医 ウィニコットさんは、子どもの健やかな成長に必要なのは完璧な母親ではなく程よい母親だと言っています。
子どもの成長に応じて少しづつ距離を置いて、何もかもかなえてくれるわけではない母親に、子どもも少しづつ失望したり我慢したりすることでもっと広い世界に自分の欲求を満たそうとする。
親子がお互い尊重し、母親以外の複数の人が子育てに関わることが重要、とのことです。

今育児でしんどい人はとにかく話して!

高石さんは、今育児でしんどい思いをしている人は、感情を抑え込まずにどんどん話して、と言っています。誰かに繋がって解決するかもしれません。
また話を聞く方も、正論で攻めたり非難したりしないでください。とにかく安心して誰かに話せることが、そのしんどさから抜け出す一歩だからです。

2020年10月23日(金)朝日新聞朝刊より出典

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