少子高齢化が問題視されている日本。このコロナ禍で2021年の出生率は80万人台になるのでは、と予想されています。政府の予想よりもかなり早いスピードで少子化はどんどん進んでいるようです。
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政府が策を講じても一向に解消されない少子化、コロナ禍で泣きっ面に蜂
少子高齢化が本格的に社会問題視されたのは1997年。この年に子どもの数が高齢者の数よりも少なくなり、逆転現象がおきました。
それから20数年。政府はさまざまな少子化対策を講じてきましたし、多くの財源も投入されてきました。しかし、一向に改善の兆しが見らないまま、出生率はどんどん減っています。
さらにこのコロナ禍です。泣きっ面に蜂どころではありません。少子化は社会保障料の肥大化や国力の減退などさまざまなひずみを生みだします。
2021年の出生率は805,000人程度か
厚生労働省が推計値を算出していますが、同じ計算式で朝日新聞社が計算したところによると、2021年の出生率は805,000人程度となる見通しです。
これは本来であれば2028年と同じ位準。現実の少子化は7年も早いペースで進んでいることがわかりました。
厚生労働省は新型コロナの影響を鑑みて例年12月の発表を見送った
厚生労総省は、毎年12月にその年の推計値を算出して発表しています。しかし、2020年と2021年は新型コロナウイルスの影響が大きいとし、推計値の発表を見送りました。
厚生労働省が公表している計算式に、10月までの出生数を当てはめてみると、805,000人程度で、2020年の840,835人よりも4.3%減っています。
2016~2020年を平均した減少率は3.5%で、これを上回る減少率です。
2019年に始めて90万人を割り、86万ショックと言われました。その時の減少率は5.8%でした。この年を除いて4%台になるのは2005年以来となります。
2017年に算出した「80万人を割る年」は2028年予想だった
国立社会保障・人口問題研究所が2017年に算出した将来人口推計によると、出生率が80万人台になるのは2028年と予想していました。しかし現実はこのコロナ禍で早くも到達してしまったことになります。
出生数の減少は近年加速しています。1998年には120.3万人あった出生率が20万人減るのには16年かかりました。しかしそこからまた20万人減ったのが2021年。ここまでは7年しか経っていないことになります。
結婚したくてもできない若者をいかに減らすかが課題
少子化問題に詳しい日本総研の藤波匠上席主任研究員は、「婚姻数が伸び悩んでいることも大きな要因なのでは」と指摘しています。結婚しない、または結婚したくてもできない若い世代が増え、そのような人が今後もっと増加すれば、長期にわたって出生数が減ることになるだろう、と見ています。
これから安心して結婚や出産ができる世の中は本当にやってくるのでしょうか。そんな不安感も、若者の婚姻率や出生率を下げているのではと感じます。
2021年12月24日(金)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。
https://www.asahi.com/