ベビーシッター大手のキッズラインに登録していたベビーシッターの男性が相次いで2人逮捕された事件は記憶に新しいです。
この事件の事後対応を巡って、さまざまな疑問の声が上がっています。
事件を知らないまま子どもを預けて女児が被害に遭っていた事実が発覚
キッズラインに登録するベビーシッター2人が性犯罪の疑いがあるとして逮捕者が出た事実は、保護者に迅速に伝えられていませんでした。
事件をしらないまま、この男性シッターを利用し、5歳の女児が被害に遭っていた事実が発覚。不信感を募らせています。
5月、事件を知らずにいた利用者にキッズラインから電話が入り、と「当該のシッターが利用できなくなった」と連絡があたとのこと。
理由は「個人情報なので教えられない」と言われました。そのこと5歳の長女に話すと、「ああよかった」と反応。保護者は嫌な予感がして調べたところ、被害に遭っていたことが発覚しました。
キッズラインの対応は・・・
5月上旬に最初の事件があったことをホームページで掲載しました。しかし目立たない位置にあり、見逃していた利用者もあったのでは、とされています。
また、利用者がメインに見るアプリからは見られないようになっていたとのこと。
被害を訴えづらい子どもへの重大な犯罪について、キッズラインから迅速な情報提供や注意喚起がされなかったことは問題です。
キッズラインは6月半ばから、一斉メールで安全対策に関するお知らせを流しました。逮捕については触れたものの、事件の概要は説明されていませんでした。
現在は、「キッズラインの安心安全対策10か条はこちら」としてホームページに掲載しています。
キッズラインの安心安全対策10か条はこちら
https://kidsline.me/about/safety
急成長するベビーシッター派遣業者
2015年にサービスを開始したキッズライン。シッターは個人事業主としてサイトに登録する仕組み。
保護者はサイトから経験年数、保育の資格の有無、他の利用者が書いたレビューを参考にしながら検索して依頼できます。
利便性から需要は急速に高まり、保育園不足もあり、2020年1月には累計依頼件数が100万件を突破しました。
2020年6月現在の登録シッター数は約4500人とのことです。
安全管理が業者任せなのが問題か
2014年にシッターが預かった男児を殺害する事件が起き、自治体への届け出を必須にし、保護者間とのトラブルの解決にあたる指針を設けましたが、具体的な内容には踏み込んでおらず、罰則もありません。
公費で利用を促す以上、国や自治体が安全を担保する仕組みは必要かもしれません。
ただ、仲介サイト自体に疑問を持つ人もいます。保護者のいない密室で、子どもと接する機会が多いのに、子どもの安全を守る仕組みがとても弱いのは事実。
本来は事業者がシッターを雇用した上で、定期的に面接や研修などを行い、人材管理に責任を負うべきと、「保育園の親を考える会」の普光院亜紀さんは話しています。
いづれにせよ、シッターを利用したい人は非常に多く、働く親にとってはなくてはならないサービスです。
しかし、シッターを評価する指標や制度が今後は必要とされるでしょう。
2020年7月16日(木)朝日新聞朝刊より出典