厚生労働省は、早ければ来年2月から5~11歳への新型コロナワクチンの接種を始めるとし、各自治体に準備を求めています。
現在、オミクロン株の感染拡大が懸念されています。「早く打たせたい」と思う保護者もいる一方で、「親は接種したけれど、子どもには接種させたくない」保護者もいるようです。
新しい技術を用いたmRNAワクチンの接種に対して、親の胸中は複雑
現在、日本国内では感染状況は落ち着いていますが、これはワクチンによる効果が大きいのでは、と言われています。しかし保護者は、子どもへの接種となるとさまざまな思いが交錯するようです。
●保護者共に副反応は軽かったので、子どもにも早く打たせたい。安心して旅行に出かけたい。
●小学校に上がる前に打たせたいのは事実だけれども、夫が反対している。
●先に治療薬が行きわたり、接種しなくても済む状況になってくれればいいのに。
元々、子どもは重症化しにくいと言われてきました。ワクチンは重症化を防ぐのが主な目的であり、未知のリスクがあるワクチンの接種には抵抗がある、という保護者も多いです。
今現在は重い副反応はないとされていますが、20年後に何が起こるかは分かりません。そもそも成熟した大人と、成長期の子どもを、全く同じととらえていいのでしょうか。答えの出ない問題です。
子ども自身が選択するには知識や経験が十分ではなく、親の意見に左右されてしまうのは否定できません。
親が重い副反応で入院をするケースもあります。そんな親を見たら、同じような体質と思われる子ども自身は、接種をためらうかもしれません。
米国では「深刻な副反応の報告はない」としている
米国では、11月から5~11歳についてファイザー社製のワクチン接種を推奨しています。
12歳以上に比べて量は1/3で、3週間開けて2回接種します。有効性は90.7%とされており、接種後にブレークスルー感染しても症状は軽かったとのことです。
また、接種した約3,100人には、深刻な副反応は報告されなかったそうです。
一般的に、子どもは感染しても重症化しないとされていますが、アメリカでデルタ株が流行した時期には入院する子どもの数が増えたそうです。
学校での集団接種は、同調圧力を生む恐れがあるため、推奨しない
学校での集団接種について、同調圧力を生む恐れがあるとして、推奨していない、としています。
11月に厚生労働省内で専門家による分科会があり、「打てる機会を確保することは重要」としました。
しかし一方では「積極的に接種をすすめることには慎重になるべき」という意見も出たそうです。
子どもは学校で「打った、打たない」などが日常的な会話に出てくるでしょう。「どちらの意思も尊重されるべき」という概念は、小さい子どもには難しいかもしれません。
打った子と打たない子で分断が起きないように、周りが配慮する必要があるでしょう。
2021年12月6日(月)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。
https://www.asahi.com/