てんかんを患っている子どもは約100人に1人いると言われ、その多くは3歳までに発症します。
ここ数年でてんかん薬の種類は大幅に増えています。日常生活でどんなことに注意したらいいかをよく知り、周りにも理解や協力を求め、生活の質-QOL(Quality of Life)が向上するといいですね。
てんかん発作には2種類ある
・焦点発作:脳の一部が興奮する状態
・全般発作:脳全体が興奮する状態
2016年にフィンコパというてんかん薬が12歳以上に処方可能となりました。この薬は、興奮を伝える物質の通り道にふたをして、興奮を押さえる効用があります。
同時に、4歳以上の子どもにも治験が進められ、効果が現われました。2020年1月に4歳以上の子どもへの処方が可能となりました。
てんかん薬は約30種類もある
この15年ほどで、あたらしいてんかん薬が次々と出始めました。患者の6割は薬で発作を抑えられると言われています。しかし約4割は完全に抑えることが難しい、難治性てんかん、とされています。
新薬フィンコパは、今まで使用していたてんかん薬が効かない患者に対して効果が期待できます。しかし、まだまだ使用例が少なく、処方しながら丁寧に経過を観察する必要があります。
てんかんの薬が効くかどうかは、長い時間を要します。通常は1~2年かけて2~3種類の薬を試します。効果が小さかった場合、脳内の発作の原因となっている部分を切除する手術を行うこともあります。
スマホ用発作記録アプリ「nanacara」で発作時に動画を撮っておく
大阪市立総合医療センターの岡崎伸医師が監修し、患者団体が開発に関わったアプリ「nanacara」。発作が起きたときに動画で記録し、受信時に主治医に見せることで、保護者は説明がしやすくなります。より適切な治療に結び付けることができます。
薬の飲み忘れは絶対にNGです!
てんかん患者の多くは、日常生活・学校生活共に過度な制限は必要ありません。普段の生活では睡眠不足や疲れを溜めることは避けましょう。また、薬の飲み忘れは絶対に無いように自主的に管理しましょう。
その他に日常的に気を付けることは以下になります。
●発作時には・・・
・倒れたり横たわった時に危険なものはそばに置かない
・頭の下にクッションを置く
・口の中の物は無理に出さず、横向きで寝かせる
●日常生活では・・・
・電車待ちや信号待ちの時、ホームの端や道路の近くに立たない
・入浴時、湯船のお湯は少なめ、浴室にはマットを敷く
・食事の時は、熱い食べ物をそばに置かない
●学校生活では・・・
・発作のタイプや、どんな時に発作を起こしやすいかをよく説明しておく。また、発作時の対応の仕方を理解してもらう。
2020年6月17日(水)朝日新聞朝刊より出典