子どもの頃に小児がんにかかって治療した経験のある人の多くは、大人になって合併症が現われることが分かってきました。
そのため、早期発見や予防のための取り組み「長期フォローアップ外来」が始まりました。
保育士を目指す人はぜひ知っておいてください。
治癒経験者は数万人規模。小児がんは治ってからのフォローが大切
大人になってから合併症が現われることを「晩期合併症」と言います。厚生労働省は、小児がんの経験者668人の医師に晩期合併症について調査を行いました。すると、治癒してから平均13年後に41%の人に合併症がみられたとのこと。さらにその中の37%は複数の症状があったとのことです。
幼少時に小児がんにかかって治癒した経験のある若年成人は、500~1000人に1人いるといわれています。
2016年一年間に小児がんと診断された子供は2144人もいます。
アメリカの調査では小児がんの子供の5年生存率は2015年に85%を超えたとのことです。
治癒した後の人生の方が圧倒的に長いですし、長期にフォローアップしていかなければならないことがわかりました。
小児がんの全国拠点病院
国は以下の病院を「長期フォローアップ外来」拠点として指定しました。進学や就職、引越しなどで通院が途絶えないようにしていきたいとしています。
北海道大学病院
東北大学病院
埼玉県立小児センター
国立成育医療研究センター
東京都立小児総合医療センター
神奈川県立こども医療センター
静岡県立こども病院
名古屋大学病院
三重大学病院
京都府立医大病院
京都大学病院
大阪市立総合医療センター
兵庫県立こども病院
広島県立大学病院
九州大学病院
小児がん医療相談ホットライン:03-5494-8159
小児がんの主な合併症部位
内分泌障害や骨・筋肉の発達の障害が多いことが分かっていますが、他にもいろいろな症状が出ています。
・内分泌機能:成長ホルモン分泌障害、甲状腺機能障害
・成長・発達:身長伸び悩み、筋肉や骨の発達の障害
・心機能:心筋症、冠動脈障害
・呼吸器:気管支炎、肺線維症
・生殖器:性腺機能障害、精子減少症、月経異常
・二次がん:白血病、脳腫瘍、甲状腺がん
本人に告知されない時代あり、幼くて十分に理解できないこともあり・・・
今ではほとんど聞きませんが、がんなどの重病を本人に知らせないことを良しとする時代が長くありました。
また、幼少期の小児がんの場合、本人が幼過ぎて説明をしても理解できないこともあったでしょう。
そのため、自身が小児がんだったことを自覚していない人も多くいます。
長期フォローアップ外来は、そのような患者さんに治療記録をまとめたサマリーなどを渡し、長期にフォローしながら重症な合併症になる前に発見し、健康管理に役立てていくことを目的としています。
2020年2月19日(水)朝日新聞朝刊より出典