子ども向けの絵本はキャラクター設定やページ数など基本的な事柄を守れば簡単に作ることができます。フリーの絵本編集者の土井章史さんに、初めて絵本を作るコツを聞きました。
4~6歳対象の絵本はこんな風に作っていく
●ページ数:見開きで15ページ程度、短すぎず長すぎない量で。
●登場人物:主人公とサブキャラクターの2つで構成する。大人数の気持ちを理解しながら読みすすめるのは子どもには難しい。主人公と他者という一対一の関係から始まる話を丁寧に描くことが大切。
●主人公の設定:身近にあるキャラクターがおすすめ。動物や車など身近にある物がおすすめ。
●主人公の性格:泣き虫や恥ずかしがり屋など分かりやすくて共感できる性格に設定すれば、愛情が持てる。
例えば、スポンジを主人公をしたい場合、スポンジになりきって、「洗剤にまみれてお皿をキュッキュッとこする」と起こることを想像します。そうすることで絵本の世界観がよく出てきます。
世界観とは、キャラクター住んでいる世界のことです。普段何を食べてどんなに家に住んでどんな遊びをしているのか。これらを細かくイメージして冒頭に書きます。
土井さん曰く、この最初の見開きページが勝負の別れ目とのこと。背景の描き方も重要とのことです。
肝心のストーリーの書き方は?
ストーリーは、大人の書物のように起承転結にこだわる必要はないそうです。特に「結」は無くてもいいのだとか。むしろ面白さに特化した方がいいとのことです。
最初に世界観を描く「起」は、びっくりするようなエピソード、迫力ある絵や音があると、一気に引き込まれるとのこと。
「承」では主人公以外のキャラクターが登場し、「転」はキャラクター同士のやり取りが入ります。
子どもはキャラクターに感情移入し、次に何が起こるのだろうろとページをめくりながら絵本の世界に入っていきます。
子どもが「何度も読んでほしい」とせがむ絵本は、キャラクターの心の動きを表現できている作品なのだそうです。
まず最初に「ラフ」を作成する
頭の中で構想が固まったら、白い紙に簡単な絵と文を書く「ラフ」を作ります。A3やB4の用紙を重ねて二つ折りにして真ん中をホチキスで止め、イメージを膨らませます。
文章は正しいひらがなとカタカナで。大人が使う言い回しや奇をてらった分は避けます。
漢字の熟語も避け、絵で説明できるところは絵で行い、文章は削っていきます。
焦らずに遊び心を忘れずに本番の絵本を作成
本番の絵本を作り、画材で絵を描きます。画材の選び方ひとつで作品の印象は大きく変わります。
焦って作らずに遊び心を忘れず、子どもが熱中して絵を描いている時のように喜びを感じながら作ってほしい、土井さんは話しています。
2020年11月14日(土)朝日新聞朝刊より出典