夕食を提供する「こども食堂」は全国に広がりつつありますが、朝食を提供する仕組みも始まっています。県をあげて支援を始めたのが広島県。韓国は一歩先に進んでいるようです。
保育園でも朝食の取り組みがはじまることを期待します。
県を上げて取り組みを始めた広島
広島県府中町立府中小学校では、地元の婦人会と協力して、希望する家庭に無償で朝食を提供する取り組みを2019年2月から始めました。
食材は16社が無償提供してくれています。冷蔵庫設置などの初期費用は県が市町村に補助金を出し、1校あたり300万円を負担しています。
このような朝食提供の取り組みは全国で広まりつつあり、東京都足立区、大阪市西淡路などでも始められています。
朝食を摂る子供の方が学力が高い現実
文部科学省は、朝食を摂る子供の方が摂らない子供よりも学力が高いことを公表しています。朝食学力には因果関係があるのです。
広島県は2017年に調査を行い、小学校高学年~中学校の子供のうち、約1/4に生活の困窮がみられたということ。
また、小6の朝食欠食率は、2013年は3%だったのに、2018年は5%にも上がっていることも分かりました。
全国調査でも、小6で4.6%、中3で6.9%が朝食をあまり食べない、食べない、と答えました。
学力差には様々な要因がありますが、朝食を摂ることで学力の向上や情緒の安定性をはかることにつなげられます。
最近は両親の共働きや深夜労働、一人親や外国人家庭など、さまざまな事情を抱えている子供が増えています。
今まで「朝食なんて家庭の問題だから家庭で対処すべき」という考え方でしたが、変わってきています。
地域や自治体、町内会や婦人会などのボランティアにも手伝ってもらいながら、子供たちに安心して美味しい朝食をたべてもらい、学力の向上や情緒安定性をはかろうとしています。
広島県ではすでに効果が!
広島県の府中小学校は、2019年2月に朝食の提供を始めましたが、落ち着きのない児童が穏やかになったり、教室に入り渋っていた児童が朝食を食べた流れで教室に入れるようになったりなど、効果が出ているのでは、と見ています。
まだサンプル値が少ないので断定はできませんが、現場の先生たちは「効果が出てきている」と見ているようです。
韓国はだいぶ前から朝食支援を始めている
朝食を食べない子、食べられない子が増えているのはおとなりの韓国も同様。
ソウル市牛耳小学校では、全校生徒1230人のうち、35人に朝食を毎日提供する取り組みを始めています。
また大学生の協力を得て親子キャンプなども開催し、親子が交流する場所も提供しています。
困難な子供たちを救うためには、その家庭全体を支援する必要があります。
2020年1月26日(日)朝日新聞朝刊より出典