医療現場からは、この冬はインフルエンザの流行が懸念されるという声を多く聞きます。しかしワクチンの生産は様々な事情から昨シーズンよりも少なくなるとのことです。
前年に流行しなかった場合、次年に流行すると言われる感染症
コロナ禍が始まって以来、インフルエンザは感染者が少ない状態が続いています。理由は、手洗いやうがい、マスクなどの感染対策が徹底されたためと言われています。
しかし一般的に感染症は、感染者が少ない年があると、その次の年は感染者が増える傾向があると言います。それは、免疫を持たない人が増えるからだとのことです。
その例として、昨年はほとんど見られなかったRSウイルスは今年大流行したことが挙げられます。
政府が今年の秋から行動制限を緩和する方針を挙げています。それにより、様々な感染症が増える可能性があり心配、と医療現場は警告しています。
これからインフルエンザワクチンの接種も本格的に始まります。一方で新型コロナのワクチン接種も急がれています。さらに3回目の接種を始めると政府は示しています。
このため、医療現場がさらに疲弊しないか心配する声は多く上がっています。
今年のインフルエンザワクチンの供給量は2割減との予想
厚生労働省によると、インフルエンザワクチン製造メーカー4社の今シーズンの供給量は2割前後少なるとの予想です。
国内で実用化されている技術では、培養に使う鶏卵の確保などに1年がかりでの生産計画を要します。そのため、急に増産することは難しいとのことです。
また、今年流行が予想されるインフルエンザウイルスの型の中には、培養で増えにくいものがあるそうです。そのため、簡単に製造量を増やせない事情もあるようです。
さらに、精製用のフィルターが新型コロナウイルスのワクチンの製造に回されてしまい、確保が難しくなっているそうです。
メーカーにとっては接種が少ないと損失になってしまう
インフルエンザワクチンは、新型コロナワクチンのように国が全額負担する公的接種ではないため、もし製造して余ってしまうとメーカーに返品されるとのこと。そうなると損失になってしまいます。
昨年は新型コロナとの同時流行を避けるため、各自治体がインフルエンザの予防接種の補助を拡充してきました、そのため、接種が広がった経緯がありました。
しかし、今年も同様の補助があるかどうかは不明とのことです。
いずれにせよ、インフルエンザワクチンの供給量は昨年よりも2割減ることは分かっているため、計画的に接種をすすめていかなければならないようです。
2021年9月14日(火)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。
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