「小さな水路だから大丈夫」「水深が浅いから大丈夫」こう思っていても、子どもにとっては危険がいっぱいであることが京都大学の研究で分かっています。
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密にならず、遠出もせず、近くで子どもを水遊びさせたいのだが・・・
夏休みに入り、夏真っ盛り。まだまだ新型コロナウイルスは終息せず、小さな子どもを抱える親にとっては、2回目の辛く大変な夏休みが始まったばかりです。
あまり人が密集しない所へ、また遠くへの移動は避け、なんとか子どもたちを飽きさせないように工夫する親たち。
近所で水遊びをしようと考えている人も多いでしょう。
この度、京都大学の研究で、子どもは幅の狭い用水路や側溝で、水深が10cm程度であっても溺れたり流されたりすることが分かりました。
小さな水路でも油断をしないように、と研究者は呼びかけています。
1割近くを占める用水路での事故
昨年までの警視庁の統計によると、例年700~800人が水難事故で死亡・行方不明となっています。
海や川での事故が多いですが、用水路での事故が1割近くを占めているというから驚きです。
水路が狭いと、水がせき止められて水位が上昇する
京都大学で河川工学・防災水工学を専門とする岡本隆明教授は、身長120cm、体重23kgの子どもに見立てた人体の模型を使い、実験用の用水路にて、用水路に転落した場合の水難事故につながる条件を探りました。
その結果、水路が狭いほど体で水の流れがせき止められてしまい、上流側の水位が上昇することが分かりました。
《実験①》
水路の幅を40cmとし、上流側に人体模型の頭を向けて寝そべらせた実験では、元の水深が10cmでも上流側は約20cmに上昇しました。
顔の向きなどによっては、鼻や口が沈んでしまうこともわかりました。
《実験②》
体を起こした状態で上流側を向いて座る姿勢で人体模型を置いた場合、寝そべった場合よりも上流側の水位はさらに上昇しました。顔は水面下には沈まないものの、体の前と後ろでは水位の差が大きくなり、さらに体が水に浮く力も加わることで、元の水位が10㎝程でも下流に押し流される可能性があることも分かりました。
なるべく監視員さんのいる遊び場を利用しよう
一般のプールや海水浴場では、監視員がいて水難事故に備えてくれています。小さな子どもを連れて遊ぶときは、なるべく監視員のいる場所を選ぶことをおすすめします。
最近は台風も大型化していますし、ゲリラ豪雨も多いです。用水路と言えども、急に水位が上がったり流れが急になったりするため、油断は大敵です。
保育園でも子ども達には、「用水路には入ってはいけない」と常日頃から伝えておくことも必要かもしれません。
2021年7月23日(金)朝日新聞朝刊より出典・引用しています。
https://www.asahi.com/