子どもに歯磨きをさせるのはとても大変。仕上げ磨きをしようとしてぐずられ、手を焼いた経験のある親は多いでしょう。
日々の習慣にして欲しいため、あの手この手で工夫していますが、なかなか思うようにはいきません。
乳歯は虫歯になりやすい
虫歯の原因は大人の唾液を介して感染するミュータント菌。大人が口移しで食べ物を与えてはいけない理由は、この虫歯菌をうつしてしまうからです。
虫歯菌は食べかすに含まれる糖分をエサにしてプラーク(歯垢)を作ります。歯垢の中で作られる酸が歯の表面にあるエナメル質を溶かしてしまいます。
乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄くて弱いため、虫歯になりやすいのです。
いつから始める?歯磨き
テクノポートデンタルクリニックの倉治院長は、歯が生え始める前から「歯固めブラシ」でマッサージをしてみて、と話しています。
口の中を触られて気持ちいいと感じることで、スムーズに歯ブラシに移行できるからだと言います。
歯が生え始めたら、月齢や本数に応じて歯ブラシを選ぶのがおすすめ。子ども用と仕上げ磨き用の2本用意します。
子ども用はのど突きを防ぐために、プレート付きのものを選ぶと良いそうです。
それでも乳幼児の歯ブラシ中の事故はよく起きており、2017年の東京都の発表によると、歯ブラシ中のけがは1歳児が48%、2歳児は31%を占めています。
「ぬいぐるみの歯磨きをしてあげて」と先生役をさせるのもあり
大人が日々歯磨きをしている姿を見せたり歯磨きの絵本やビデオを見せたりしても、興味を示さない子もいます。
そんな時は古くなった子ども用の歯ブラシを持たせ、ぬいぐるみの口の中を磨かせてみることも一つの手です。
子どもは普段の生活では何かを教わったりさせられたりすることが多いです。ここであえて先生役を与えることで、やる気を引き出せることもあります。下にきょうだいがいない子だととても効果があります。
仕上げ磨きの時の注意は?
上唇の上側についているヒダ「上唇小帯」に歯ブラシがあたるととても痛いので、指で覆って仕上げ磨きをしてあげることが大切です。
一度でも痛いことをすると、子どもは嫌がって仕上げ磨きをさせてくれなくなるので難しいところです。
また、歯磨き剤は多ければいいということはありません。あくまでも適量を守ること。2歳までなら1mm程度、3~5歳なら5mm程度が目安とのことです。
時間が取れない時は、食後にキシリトールのタブレットをなめるのもおすすめです。
乳歯でも油断は禁物です!
乳歯はいずれ永久歯に生え変わるので、乳歯のうちは歯を磨かなくても大丈夫と思ってはいけません。
乳歯が虫歯になって抜けてしまうと、永久歯の生え方に影響し歯並びが悪くなる恐れがあるから、とのことです。
2021年2月13日(土)朝日新聞朝刊より出典